酸価・過酸化物価~油脂の劣化~

2022年4月27日

油脂の酸価・過酸化物価試験はAHCで対応できます

油脂の劣化:健康と食品品質への影響と指標

油脂は私たちの食生活に欠かせない存在ですが、過度に劣化すると健康被害や食品品質の劣化を引き起こす可能性があります。そこで今回は、油脂の劣化メカニズム、指標となる「酸価」と「過酸化物価」、そして劣化を防ぐ方法について解説します。

油脂劣化の原因と影響

油脂は、酸素、温度、光、金属、水分などの外的要因によって劣化します。主な劣化メカニズムは以下の3つです。

1. 加水分解: 水分と反応して脂肪酸とグリセリンに分解 2. 酸化: 空気中の酸素と反応して過酸化物などの酸化生成物を生成 3. 重合: 高温で油脂分子同士が結合して重合体を作る

これらの劣化によって、油脂は以下のような悪影響を及ぼします。

  • 異臭の発生: 酸敗臭と呼ばれる不快な臭いが発生
  • 風味・外観の変化: 油脂の色が濃くなったり、粘度が増したりする
  • 栄養成分の分解: ビタミンなどの栄養成分が分解される
  • 健康への悪影響: 過酸化物などの有害物質が体内に蓄積されると、発がん性や老化促進などのリスクが上昇

油脂劣化の指標:酸価と過酸化物価

油脂の劣化度を評価する指標として、「酸価」と「過酸化物価」があります。

1. 酸価 (AV): 油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数。数値が高いほど劣化が進んでいることを示します。

2. 過酸化物価 (POV): 油脂1kg中の過酸化物量をヨウ素量に換算した値。数値が高いほど酸化が進行していることを示します。

食品の種類や用途によって、酸価と過酸化物価の許容範囲は異なります。例えば、即席めん類では酸価3以下、過酸化物価30以下、揚げ物油では酸価2.5以下、発煙点170℃以上などが定められています。

油脂劣化を防ぐ方法

油脂の劣化を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

  • 光、高温、空気に触れないように保存する: 密閉容器に入れ、涼暗所で保存する
  • 加熱しすぎない: 揚げ物は高温で長時間加熱しない
  • 繰り返し使用しない: 揚げ物油は1回限り使用する
  • 使用後はすぐに蓋をする: 空気に触れる時間を短くする
  • 適切な油脂を選ぶ: 酸化に強い油脂を選ぶ

まとめ

油脂の劣化は、健康と食品品質にとって大きな問題です。油脂の劣化メカニズム、指標となる「酸価」と「過酸化物価」、そして劣化を防ぐ方法を理解し、適切な取り扱いを行うことが重要です。

当社へのご相談

油脂の劣化に関する試験や分析のご依頼は、下記までお気軽にお問い合わせください。

関連情報

 

このページの先頭へ戻る